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全ての胚盤胞を着床させるには

基礎医学
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ヒト受精卵の着床は不明な点が多い。なぜ免疫的に自分ではないものが拒絶されずに着床し、育つのか。 その理由としては以前から、卵胞ホルモンや黄体ホルモンの存在や子宮内膜が免疫的拒絶を抑制しているためと説明されています。しかし受精卵は子宮内膜のない卵管や子宮頸管や腹膜にも着床し、発育する症例があります。したがって子宮内膜の存在は必須ではないのかもしれません。しかし、日頃臨床で経験し苦慮するのは、子宮内膜が薄く何度移植しても着床しない方です。卵胞ホルモンや黄体ホルモンの血中濃度をいくら上げても内膜が厚くならず着床しないのです。 一方、免疫的に自分ではない癌細胞・癌組織は免疫的拒絶を免れ、発育します。そ

D-6の④⑤⑥(拡大から脱出)胚盤胞とD-5胚盤胞の凍結融解移植の臨床成績の比較

基礎医学
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【背景】 最近の海外からの報告ではD-6の④⑤⑥胚盤胞はD-5の④⑤⑥胚盤胞に比べて凍結融解移植の臨床成績が良くないと報告されている。2003年までのHARTクリニックでは、D-6の④⑤⑥胚盤胞の融解後生存率が悪く、AS(人工的収縮)を行い凍結するようになって改善した経験がある。 【目的】 当院でのD-6の④⑤⑥胚盤胞とD-5の④⑤⑥胚盤胞の凍結融解胚移植の臨床成績を2017年1月10日から2018年6月30日までの期間で臨床成績データを後方視的に比較し考察した。 【結果】 全体的にはD-6とD-5の胚盤胞凍結融解移植のGS(胎嚢)確認による妊娠率はそれぞれ45.6%と59.8%、継続妊娠率は

凍結時に⑥(脱出)胚盤胞となっている凍結胚盤胞融解移植の成績は本当に低いのか

基礎医学
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【背景】 ガラス化胚盤胞の融解移植において採卵から6日目の胚盤胞の④⑤⑥の成績は良くない、あるいは特に⑥が良くないと海外では報告されている。海外ではPGS(着床前診断)を行っており、透明帯から脱出した栄養外胚葉の細胞を生検するため採卵から6日目の④⑤⑥で生検することが多くなると考えられる。2003年までは、HARTクリニックでも6日目の④⑤⑥胚盤胞の融解移植は成績が非常に悪く、胞胚腔のAS(人工的収縮)を行い、胞胚腔が完全に収縮してから超急速ガラス化法を行うようになって、臨床成績が改善した経験がある。 【目的】 2017年1月10日から2018年6月30日までの1年半の期間に、⑥すなわち脱出胚

PCOS(多嚢胞卵巣症候群)治療についての検討。妊娠率が高いのは、ホルモン補充周期の凍結胚盤胞融解移植(FBT)か排卵周期FBTかについての考察

基礎医学
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PCOS(多嚢胞卵巣症候群)の治療は、東京HARTクリニックでは、アンタゴニスト法による排卵誘発をして、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を避けるため全胚盤胞凍結を行ない、妊娠希望周期に、凍結(ガラス化)胚盤胞の融解移植(FBT)を行います。 PCO患者の着床について考察するため、ホルモン補充(HRT)周期にFBT(凍結胚盤胞融解移植)を行うほうが成績が良いのか、排卵周期に行なうほうが良いのか検討しました。期間は2014年1月から2017年12月までの3年間です。PCOは自然排卵がほとんど期待できないため、まずホルモン補充周期FBTを2周期行い、成功しなかった症例に排卵周期FBTを行いました。採卵

自然周期orホルモン補充周期?-PCO群と非PCO群での凍結胚盤胞移植の成績の検討

基礎医学
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【目的】自然周期またはホルモン補充周期での凍結胚盤胞移植の妊娠率および流産率をPCO群と非PCO群でそれぞれ比較する。 【対象】2014年1月~2017年12月に東京HARTクリニックで凍結胚盤胞移植を行った患者。AFが左右の卵巣に10個以上あり、自然では無排卵の患者をPCO群、それ以外を非PCO群とした。 【方法】移植方法の選択は、初回は通常E+P周期で行い、1~2回不成功の場合に排卵周期移植を行っている。2014年1月~2017年12月の凍結胚盤胞移植のデータより、非PCO・PCOのそれぞれの群で、着床率・妊娠率・継続妊娠率・流産率を算出し、後方視的に比較検討した。 【結果】非PCO群(1

子宮内膜日付診結果からホルモン補充周期の黄体ホルモン投与から6.5日目あるいは7日目にガラス化胚盤胞融解移植をして妊娠出産に至った9症例の検討

基礎医学
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[目的]子宮内膜日付診を行い、POD3(排卵後3日目)の結果を得た症例について、D6.5あるいはD7にガラス化胚盤胞融解移植を行い妊娠出産に至った9例について考察し、その有効性を検討した。 [対象]2014年から2017年の間に東京HARTクリニックで子宮内膜日付診を行い、病理学的にPOD3(排卵後3日目)と報告された症例に対して、D6.5あるいはD7にガラス化胚盤胞融解移植(FBT)を行い、出産に至った症例9例である。不妊原因は8例が原因不明不妊症で、1例が子宮内膜症であった。 [方法]子宮内膜日付診は、ガラス化胚盤胞の保存が確認できた採卵周期の後の周期に行った。月経開始3日目からプレマリン

2017年のヨーロッパ生殖医学会(ESHRE)の着床前診断(PGS)についての発表とアメリカのReprogenetics社の着床前診断(PGS)のデータについて

基礎医学
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胚盤胞の⑥(hatched)すなわち透明帯という殻から完全脱出した胚盤胞でPGSを行った患者の着床率は24%と低かった。アメリカでのPGSの成績では着床率54%、流産率10%であった。いずれも満足できる成績ではないと考えます。参考までに、東京HARTクリニックの成績ではPGSをしなくても39歳以下であれば、着床率55%、流産率24%です。海外ではPGSをすると着床率は上がらないが流産が減るとされています。 考察 胚盤胞ガラス化保存の開発をしていた2000年頃ころ、現在は100%である胞胚腔が拡大した胚盤胞の生存率は、当時は特に6日目の拡大胚盤胞④や脱出胚盤胞⑤、⑥では70%程度と低く、改良が必

染色体数が正常な胚盤胞の割合について

基礎医学
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(1) 正常な数の染色体をもつ胚盤胞の年齢別割合 (図1) アメリカのリプロジェネティックス社という遺伝情報診断センターの2012年までの約1万症例の約6万個の胚盤胞の染色体の異数性の検査結果を示します。体外受精周期に得られた受精卵を胚盤胞まで育てて胎盤になる細胞の一部を採り出し、アレイCGH(染色体の数の異常を調べる検査)という方法で染色体の異数性検査を行なったものです。胚盤胞はガラス化保存しておき、数的に正常な染色体の胚盤胞のみ融解移植します。 図1より、30代前半ではおおよそ胚盤胞の2個に1個の染色体が数的に正常であるのに、38歳を超えると3個に1個、41歳を超えると5個に1個が正常であ