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胚盤胞の質の評価について

胚盤胞の質の評価について

体外受精とは、卵巣より直接成熟卵を採取(採卵)し、培養液の中で精子と一緒にし(媒精)、受精した卵(受精卵)を数日間培養した後、分割した受精卵(胚)を子宮に戻す(胚移植)ことを言います。子宮に戻す(胚移植)時期に関しては、採卵後2~3日目で移植する初期胚移植と採卵後5~6日目の胚盤胞の状態で移植する胚盤胞移植があります。 ここでは、採卵後5~6日目の胚盤胞の質の評価法について説明します。 当院では、多くの不妊治療施設が採用しているガードナー分類を用いて、以下(1)~(3)の状態を観察しながら胚盤胞を評価しています。 (1) 胚盤胞腔(胚盤胞内部に見られる細胞のない空間)の広がりと孵化(栄養外胚葉の透明帯外への脱出)の程度 (2) 内細胞塊(赤ちゃんになる部分)の様子 (3) 栄養外胚葉(胎盤になる部分)の様子 haibanhou1 これらを観察し、「4AC」のように数字とアルファベットの組み合わせで表記します。 「4AC」の表記方法について、このあと詳しく説明します。
「4AC」の数字4の部分は、発育段階(1)胚盤胞腔の広がりと孵化の程度を示します。 これは1~6の6段階に分類されます。 haibanhou2
数字に続くアルファベット「AC」は、先に分類した数字が3以上だった場合、さらに胚盤胞を構成する(2)内細胞塊と(3)栄養外胚葉の状態を細かく分類したものを表します。 はじめの「A」は(2)内細胞塊(赤ちゃんになる部分)、続く「C」は(3)栄養外胚葉(胎盤になる部分)の分類です。 (2)内細胞塊も(3)栄養外胚葉も多数の細胞により形成され、細胞数が多いか少ないかを評価しABCの3段階で表します。 下記の表より「AC」は、内細胞塊は多いが栄養外胚葉は非常に少ないという評価になります(水色の部分)。
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当院では「3BB」以上の胚を良好胚と判断していますが、この評価はあくまでも形態的な質の評価として用いるもので、「BC・CB・CCの胚は赤ちゃんにならない」ということではありません。 また、形態評価はある程度染色体異常の有無との相関はありますが、良好胚盤胞が全て正常染色体数であるわけではなく、逆に良好胚盤胞でなくても異数性のない胚であれば出産に至る可能性はあります。
以上の方法で胚盤胞を分類し、妊娠につながる可能性が高い胚を選択しています。 胚の評価についてわからない点がありましたら、医師に質問をし、疑問を残したまま治療を受けることがないよう心がけてください。