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自費診療で広がる選択肢

自費診療で広がる選択肢

先進医療でも認められていない、保険診療内では行うことのできない自費の検査や治療についてご説明します。
※現在タクロリムスの使用と、PGT-A(胚の着床前診断)については先進医療Bとなっておりますが、当院では自由診療(保険とは併用不可)でのご案内となります。

貯卵

保険診療では貯卵(複数回採卵をして胚を貯めておくこと)が認められていません。
胚の染色体異常は多くの場合女性の年齢に依存して増加することが報告されており、貯卵することで少しでも年齢の若いうちに胚を貯めておくことができます。貯卵しておけば二人目、三人目の妊娠を希望した時にも、採卵した時の年齢相当の妊娠率が期待できます。また、子宮筋腫の手術後(粘膜下筋腫手術を除く)は半年間移植ができず、卵巣嚢腫の手術をすると卵巣の正常部分を残してもAMHが術後低下することが知られており、術後は採卵数が少なくなることが予想されます。お子さんを二人以上授かりたいと考えている方や、移植前に子宮筋腫や卵巣嚢腫の手術を勧められている方には、貯卵がお勧めです。

CD138検査(慢性子宮内膜炎検査)

子宮内膜は胚が着床する場所ですが、ここに慢性的な炎症があると着床の障害になるといわれています。内膜の細胞を採取して免疫染色し、顕微鏡で観察することで内膜炎の有無を調べます。慢性子宮内膜炎検査が陽性だった場合、抗生剤を内服して治療します。この場合の抗生剤も自費となります。

子宮内膜日付診

着床の窓のずれを調べる検査です。着床の窓を調べる検査は他にもERAなどがありますが、子宮内膜日付診はERAと診断方法が異なります。ERAで着床の窓のズレなしと診断された方でも、日付診でズレがあった方はその結果に従って移植することでうまくいく方がおられます。
内膜細胞採取方法はCD138検査と同じため、同時に二つの検査に提出することもできます。

hCG子宮内注入

移植当日、胚を移植する前に子宮内に少量のhCGを注入することで妊娠率の上昇が期待できます。
(Fertil Steril.2019 Jul;112(1):89-97)

偽閉経療法

薬剤を使って約2か月間月経を止めることにより、腹腔内の環境がよくなり着床しやすくなるという治療法です。子宮内膜症のある方や良好胚を移植してもなかなか着床しない方におすすめの治療法です。
(Fertil Steril.2019 Jul;112(1):98-104)

PFC-FD(自己血小板由来成分濃縮物)子宮内注入

患者様ご自身の血液から抽出した高濃度の血小板に含まれる成長因子を子宮内に注入することで子宮内膜が厚くなる効果を期待できます。子宮内膜が薄く移植のキャンセルが続いていたり、内膜が薄いために移植してもなかなか着床しない方にお勧めの治療です。

保険で認められていない薬剤使用(ダクチルやバイアスピリンなど)

  • バイアスピリン
  • 抗リン脂質抗体症候群ではないが不育症の検査で異常値が出ている方に処方。
  • ダクチル
  • 子宮の収縮や内膜の蠕動運動を抑えることで胚移植後に子宮が胚を体外に排除しようとするのを抑える効果を期待するもの。初期の切迫流産にも処方される。
  • ユベラ
  • 血流をよくすることで内膜が厚くなる効果を期待するもの。

ノンメディカルな卵子凍結

将来子供が欲しいと思っているが現在のところパートナーがいない、でも年齢の上昇による卵子の老化が心配、という方へ卵子凍結という選択肢があります。
がん治療の前に卵子凍結をしておくメディカルな卵子凍結と区別してノンメディカルな卵子凍結と呼んでいます。
どれくらいの個数を凍結目標とするかは年齢により異なります。
現在結婚されている方や事実婚の方で、すぐには妊娠の予定はないけれど若いうちに胚を凍結したいと考えている方には卵子凍結ではなく受精させた胚を凍結しておくことをお勧めします。すぐに移植予定がない場合は保険では認められていない「貯卵」の考え方になるため、採卵も自費となります。

受精卵(胚)の質改善のための透明帯開口法(Assisted Hatching:AHA)

通常の培養では、邪魔な細胞が発生することによって十分に胚が成長できず、不良胚になってしまい、移植・凍結ができない場合があります。
このような状況になるのを防ぐため、胚培養の過程でAHA(透明帯開口)を施行して培養をすることにより、必要と判断した受精卵(胚)のうち8割の胚で質の改善が見られました。
保険診療で行えるAHAとは時期や目的が異なるために、自費診療の方のみご利用いただけます。当院では、培養3日目から5日目に医師または胚培養士が必要と判断した胚にAHAを施行します。詳細につきましては、こちらの説明資料をお読みの上、ご質問があれば医師にお尋ねください。

※タクロリムス

反復着床障害がある方で、Th1/Th2採血で高値を示した方に処方します。
一般には免疫抑制剤として使用されている薬です。

※PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)

2回以上移植しても着床しない方、2回以上流産の経験がある方が対象となります。胚を移植する前に一部を染色体検査に提出して、流産する可能性の少ない胚を移植する方法です。詳しくは日本産科婦人科学会のホームページをご覧ください。