着床前診断(PGT)について
体外受精を行って、良好胚を移植しても、妊娠しないあるいは妊娠しても流産してしまうのは、多くの場合受精卵に染色体異常があるからと考えられています。したがって、着床前診断を行う目的は、移植前の受精卵の染色体を検査して、正常と考えられるものを移植し、より多くの出産を得ることです。
PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)
染色体の数の異常を検査します。体外受精が不成功となる主な原因は、卵子の老化による染色体の数の異常で起こると考えられています。したがって、移植前の胚盤胞の染色体を全て検査し、染色体の数が正常なもののみ移植します。染色体の検査には、胚盤胞の胎盤の細胞を5個程度取り出し検査する方法(侵襲性)と、培養液のDNAを検査する方法(非侵襲性)があります。
費用は1個10万円、4個目からは7万円(消費税別)。
しかし、染色体数が正常の胚を1個移植しても、出産率は一般的には50%から60%、流産率も8%から10%と言われており、流産率は低くなりますが、すごく良いというわけではありません。
その理由として、PGT-A検査で受精卵に傷をつけている、遺伝子レベルの異常はわからない、胎児の奇形はわからない、などが考えられています。
非侵襲性の検査は、受精卵に傷をつけないというメリットがありますが検査結果の正確性においてまだ実用段階には致っていません。
PGT-SR(着床前胚染色体構造異常検査)
特定の染色体構造異常を持つ症例に置いて、胚盤胞の染色体を検査し、染色体構造異常が遺伝していないか検査します。
PGT-M(着床前胚遺伝性疾患検査)
重い遺伝病が胚に遺伝していないか検査します。