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12年以上の長期凍結保存し融解移植した受精卵の運命は

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12年以上の長期凍結保存し融解移植した受精卵の運命は Human Reproduction, 2019年1月号、中国からの論文 凍結年数が12.0~17.1年、平均13.9年の採卵後3日目のday3胚128個を対象とし、少なくとも1児を生児出産した20名の患者の余剰胚が対象である。融解後の胚の生存率は74%であった。 60個の胚はさらに培養して20個の胚盤胞が得られ、胚盤胞到達率は33%であった。 21個の分割期胚と、13個の胚盤胞がそれぞれ12周期と11周期において移植された。その結果1例が生化学的妊娠、1例が初期流産、2例が子宮外妊娠、3例が単体妊娠、1例が双胎妊娠であった。 臨床的妊娠率

胚盤胞の形態(何日目の胚盤胞か、グレード)やTE(栄養外胚葉)の生検(PGT-A;着床前診断)の有無やAS (artificial shrinkage;人工的収縮)などのラボでの操作と融解後胚盤胞の状態(変性)や着床(生児出産率)との関係

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胚盤胞の形態(何日目の胚盤胞か、グレード)やTE(栄養外胚葉)の生検(PGT-A;着床前診断)の有無やAS (artificial shrinkage;人工的収縮)などのラボでの操作と融解後胚盤胞の状態(変性)や着床(生児出産率)との関係 Human Reproduction  2018年11月号、———— and Laura Rienzi イタリア、ローマからの論文 ※この論文には、向田哲規先生(広島HARTクリニック 院長)の2006年の論文が引用されています 【参考】 2004年から2014年までイタリアでは法律で移植は3個まで、受精卵の凍

全胚凍結法は卵巣高反応患者ではメリットがあるが、中反応や低反応ではそうではない

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全胚凍結法は卵巣高反応患者ではメリットがあるが、中反応や低反応ではそうではない。 (Fertility Sterility 2018 10月号 USAからの論文) 自己の卵子を用いた体外受精で、全胚凍結を行い、その後に最初の凍結融解胚移植(FET)を行った患者と、自己の卵子を用いた体外受精で、最初の新鮮胚移植(ET)を行った同様な患者で臨床的妊娠率と生児出産率を比較した。82,935周期を対象として、後方視的にデータ解析を行った。患者は採卵数別に、1~5個の卵巣低反応、6~14個の卵巣中等度反応、15個以上の卵巣高反応群に分けて比較した。 分析の対象となった82,935周期の中で、69,102

PGS(着床前診断)を行い、確実な診断が得られなかった凍結胚盤胞を融解し再度バイオプシーをして2回目のPGSを行い正倍数性の胚を移植した臨床結果

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PGS(着床前診断)を行い、確実な診断が得られなかった凍結胚盤胞を融解し再度バイオプシーをして2回目のPGSを行い正倍数性の胚を移植した臨床結果 (Human Reproduction 2018年10月号、イタリアからの論文) 栄養外胚葉のバイオプシーを試みたものの全体の2.5%(228/8,990)は確実な診断が得られなかった。 その中の2.0%にあたる176個はDNAの増幅が不成功で、0.5%にあたる52個は一致した結果が得られなかったためPGSが不成功であった。 確実な診断が得られなかった213個の胚盤胞は融解して再度PGSを行い再凍結した。融解後の生存率は96.7%(206/213)で

子宮内膜厚が新鮮胚移植と凍結融解胚移植の臨床結果へどのように影響するか(40000例の胚移植のデータからの分析)

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子宮内膜厚が新鮮胚移植と凍結融解胚移植の臨床結果へどのように影響するかを40000例の胚移植のデータから分析した。 (Human Reproduction 2018年10月号、カナダからの論文) 2013年から2015年においてカナダのすべての新鮮胚移植24363周期および凍結融解胚移植20114周期のデータを後方視的に分析した。 新鮮胚盤胞移植をD5/6に行なった場合;生児出産率と流産率は内膜厚が8mm以上でそれぞれ40.6%と20.0%、7.0~7.9mmで33.3%と25.6%、6.0~6.9mmで31.7%と24.0%、5~5.9mmで16.9%と33.3%であった。 凍結胚盤胞融解移

全ての胚盤胞を着床させるには

基礎医学
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ヒト受精卵の着床は不明な点が多い。なぜ免疫的に自分ではないものが拒絶されずに着床し、育つのか。 その理由としては以前から、卵胞ホルモンや黄体ホルモンの存在や子宮内膜が免疫的拒絶を抑制しているためと説明されています。しかし受精卵は子宮内膜のない卵管や子宮頸管や腹膜にも着床し、発育する症例があります。したがって子宮内膜の存在は必須ではないのかもしれません。しかし、日頃臨床で経験し苦慮するのは、子宮内膜が薄く何度移植しても着床しない方です。卵胞ホルモンや黄体ホルモンの血中濃度をいくら上げても内膜が厚くならず着床しないのです。 一方、免疫的に自分ではない癌細胞・癌組織は免疫的拒絶を免れ、発育します。そ

D-6の④⑤⑥(拡大から脱出)胚盤胞とD-5胚盤胞の凍結融解移植の臨床成績の比較

基礎医学
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【背景】 最近の海外からの報告ではD-6の④⑤⑥胚盤胞はD-5の④⑤⑥胚盤胞に比べて凍結融解移植の臨床成績が良くないと報告されている。2003年までのHARTクリニックでは、D-6の④⑤⑥胚盤胞の融解後生存率が悪く、AS(人工的収縮)を行い凍結するようになって改善した経験がある。 【目的】 当院でのD-6の④⑤⑥胚盤胞とD-5の④⑤⑥胚盤胞の凍結融解胚移植の臨床成績を2017年1月10日から2018年6月30日までの期間で臨床成績データを後方視的に比較し考察した。 【結果】 全体的にはD-6とD-5の胚盤胞凍結融解移植のGS(胎嚢)確認による妊娠率はそれぞれ45.6%と59.8%、継続妊娠率は

凍結時に⑥(脱出)胚盤胞となっている凍結胚盤胞融解移植の成績は本当に低いのか

基礎医学
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【背景】 ガラス化胚盤胞の融解移植において採卵から6日目の胚盤胞の④⑤⑥の成績は良くない、あるいは特に⑥が良くないと海外では報告されている。海外ではPGS(着床前診断)を行っており、透明帯から脱出した栄養外胚葉の細胞を生検するため採卵から6日目の④⑤⑥で生検することが多くなると考えられる。2003年までは、HARTクリニックでも6日目の④⑤⑥胚盤胞の融解移植は成績が非常に悪く、胞胚腔のAS(人工的収縮)を行い、胞胚腔が完全に収縮してから超急速ガラス化法を行うようになって、臨床成績が改善した経験がある。 【目的】 2017年1月10日から2018年6月30日までの1年半の期間に、⑥すなわち脱出胚