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【論文紹介】卵巣予備能が低下した患者(DOR)の治療管理:ランダム化比較試験(RCT)の系統的レビューとメタ分析

論文紹介

【出典】”Therapeutic management in women with a diminished ovarian reserve: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials” by Alessandro Conforti, M.D., Ph.D., et al
Fertil Steril® Vol. 123, No. 3, March 2025 0015-0282

【論文の内容】
背景;卵巣予備能低下 (DOR) の患者の治療は、生殖補助医療の分野における課題である。いくつかの治療戦略が提案されてきたが、それぞれの試験間で使用された DOR の定義が一貫していないため、結果はまちまちである。
目的;患者別に卵母細胞数を考慮した患者に合わせた治療計画に従って、DOR の女性のみを対象とした生殖補助医療の治療法を調査すること。
研究の選択と分析;12,747の論文から重複を除去した後、4,806件の論文のタイトルと抄録を精査し、124 件の全文論文の適格性を評価した。合計で 38 件のランダム化比較試験が定性的/定量的分析に含まれた。以下の介入が評価された:主な評価項目は、臨床妊娠率、流産率、生児出生率、または妊娠継続率。副次評価項目は、採取された卵の数、MⅡ卵(成熟卵)の数。
結果;
デヒドロエピアンドロステロン(DHEA);デヒドロエピアンドロステロンは卵巣の莢膜細胞から分泌されるステロイドであり、テストステロンとエストラジオールの生合成を誘導する。DHEA 25 mg を 1 日 3 回(75mg/日)3~4カ月投与する。DORの女性に対するDHEA補給の役割は6つのRCTで調査された。採卵数は有意に増加するが、他の臨床成績は変わらない。
テストステロン;アンドロゲンは卵胞形成において重要な役割を果たし、アロマターゼ活性とエストラジオール産生の主な基質となる。5つのRCTでDORの女性に対するテストステロン補充が調査された。テストステロンジェルの使用期間は卵巣刺激前の3週間から6週間、12.5mg/日、テストステロン補充(12.5㎎/日を1日1回塗る。4w間投与が臨床成績が良かった)は、補充を受けていない女性と比較して生児出生率が優位に上昇した。10日間12.5mg/日では効果が見られなかった。
高用量 vs. 低用量ゴナドトロピン;FSH300~450単位投与と刺激を減らした150単位連日投与の比較。軽度の卵巣刺激を受けた患者は採卵数が少ないが、臨床妊娠率や生児出産率は変わらなかった。75単位投与はキャンセルが増えた。
GnRHアンタゴニストによる遅延開始プロトコル;NOR女性の卵巣刺激(OS)中の不揃いな胞状卵胞発育を避けるためのプロトコルである。GnRHアンタゴニスト(月経開始2日目から)投与の前処置をした7日後(月経開始9日目)に卵巣刺激が開始された。3つの RCT で調査された。採卵数は多くなるが、臨床妊娠率、出産率に差はなかった。
レトロゾール、クエン酸クロミフェン;月経3日目から5㎎のレトロゾール5日間投与を、OSに追加した。採卵数は増えたが、臨床成績は変わらなかった。クロミフェンクエン酸塩は下垂体細胞の選択的エストロゲン調節剤として作用し、内因性ゴナドトロピン分泌を増加させる可能性がある。一部の研究者は、クロミフェンクエン酸塩をゴナドトロピンと併用すると、体外受精の失敗歴のある女性でも卵巣刺激中の卵胞出力が向上する可能性があると仮定している。3つのRCTを調査し、クロミフェンの投与量やHMGも投与量を変えても、採卵数や臨床成績は変わらなかった。
成長ホルモン;卵胞形成におけるGHの役割は広く認められている。生体内モデルでは、GH受容体とGH結合グロブリンが卵母細胞、卵胞膜、顆粒膜細胞で発現していることが実証されている。2つのRCTの調査。それぞれ採卵数は多いが臨床成績は変わらないという報告と、移植胚数が増え、臨床成績が有意に良かったという報告がある。
黄体期刺激;卵胞発育は、卵巣周期中に波のようなパターンで起こる。この概念は、卵胞は月経周期の卵胞期にのみ成長するという以前の仮説に取って代わるものである。卵胞期刺激と黄体期刺激を比較調査し、採卵数、MII卵数、および生児出生数は同程度であった。
デュアルトリガー;ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)とGnRHアゴニストの両方を使用して最終的な卵母細胞の成熟を誘導する。予備データでは、この戦略により卵母細胞の質と成熟が大幅に改善される可能性があることが示唆されている。デュアルトリガーアプローチは1つのRCTで調査された。採取された卵母細胞とMII卵母細胞の数に差はなかったと報告された。しかし、デュアルトリガーを受けた女性は、シングルトリガー(hCG)のみを受けた女性よりも生児出生率が低かった。
デュアル刺激デュアル刺激法は、卵胞期と黄体期の両方で2回連続して刺激を行うもので、DORと妊孕性温存を伴う(がん治療前など)女性において有望な結果が得られている。デュアル刺激と2回の卵胞刺激とを比較して、後者の採卵数が多かったが、MⅡ卵数、生児出産率は同等であった。
黄体形成ホルモン(LH);黄体形成ホルモンの併用療法は、35~40歳(高齢)や低反応などの予後不良の女性の特定のサブグループに採用される可能性がある。DORの女性におけるその役割はまだ明らかではない。可能性のある効果は、卵胞形成に対するアンドロゲン(LHが作用して莢膜細胞でテストステロンが作られる)の作用と顆粒膜細胞におけるエストロゲン産生に関連している可能性がある。rFSHとrLHを2:1の比率で投与とrFSHのみの投与で卵巣刺激し比較すると、LHを投与した方が生児獲得率が上がる可能性がある。
エストロゲンによる前処置;排卵誘発前のエストラジオール前処理(排卵後7日目から月経2日目まで2mg/日を内服)は、主にGnRHアンタゴニストが下垂体抑制に使用される場合に、卵胞同期を改善するために提案された。回収された卵子の数、MII卵の数、および臨床妊娠率は、前処置ありとなしで同等であった。
コリフォリトロピンアルファ;コリフォリトロピンアルファは、長時間作用型ゴナドトロピンで、血漿半減期は65時間である。コリフォリトロピンアルファとHMG併用とrFSH単独投与で比較すると、すべて同等であった。AFC < 5、AMH < 1.1 ng/mL、前回のサイクルで卵母細胞 < 3、年齢> 40歳の2つを満たす患者で、コリフォリトロピンアルファ補充を受けた女性で、対照群はコリフォリトロピンアルファ補充なし。すべてのグループは、OS中にrFSHとrLHの併用治療を受けた。併用グループの方が採卵数、MⅡ卵数、継続妊娠が有意に多く観察された。

【本論文のまとめ
評価したすべての介入において、テストステロン補充は、補充を受けていない女性と比較して生児出生率が優位に上昇した
●GnRHアンタゴニストを使用した、遅延開始プロトコルは、採取された卵子の総数を有意に改善した。
●低用量ゴナドトロピン療法を受けた女性では、高用量と比較して、採取される卵母細胞の数が少なくなった。その他の介入では有意な改善は得られなかった。