【目的】自然周期またはホルモン補充周期での凍結胚盤胞移植の妊娠率および流産率をPCO群と非PCO群でそれぞれ比較する。
【対象】2014年1月~2017年12月に東京HARTクリニックで凍結胚盤胞移植を行った患者。AFが左右の卵巣に10個以上あり、自然では無排卵の患者をPCO群、それ以外を非PCO群とした。
【方法】移植方法の選択は、初回は通常E+P周期で行い、1~2回不成功の場合に排卵周期移植を行っている。2014年1月~2017年12月の凍結胚盤胞移植のデータより、非PCO・PCOのそれぞれの群で、着床率・妊娠率・継続妊娠率・流産率を算出し、後方視的に比較検討した。
【結果】非PCO群(1608例、平均年齢39.2歳)とPCO群(198例、平均年齢36.9歳)のいずれにおいても、E+P周期と自然周期での着床率、妊娠率、継続妊娠率に有意差を認めなかった。流産率(GS確認後、心拍確認に至らなかった割合)は、非PCO群ではE+P周期(13.9%)に比べて自然周期(20.1%)で有意に高い結果となった(p<0.05)。一方PCO群では、有意差は認めないものの、E+P周期(13.3%)のほうが自然周期(5.9%)よりも流産率が高い結果となった。
【考察】凍結胚盤胞移植については、自然周期のほうがE+P周期より妊娠率が高いという報告もあるが、当院の結果では両者で妊娠成績に差を認めなかった。一方流産率は、非PCO群では自然周期で、PCO群ではE+P周期で流産率が高いという反対の結果となった。ホルモン補充周期では閉経後など卵巣からのホルモン放出が少ないほど凍結胚盤胞移植の結果が良好なことが知られているが、PCO患者では前胞状卵胞が多数存在しており、これらの存在が着床や胚発育に影響している可能性が示唆された。